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「…ォ」
「…マ~オ」
「ん…アイル?」
「寝てんなよ。」
「ゴメん。」
「はい、これ。」
「うん?」
「いいもの。」
「何?葉っぱ?草?」
アイルから渡されたイイモノは、葉っぱと草の中間みたいな植物
「ごめん。これのどこがいいもの?」
「アレが粉になる前の…」
「ふざけないで!」
「冗談だって」
「じゃあ何?」
「マオは現実を見よう。マオは目を覚ますべき…いや、気付かなくてはいけない。」
「何?何の話?」
胸が不穏に騒つく。
アイルの鋭すぎる勘で、私の話から男の何かを読み取った?
「今夜は満月だから。」
「は?」
「それを満月の月明かりをたっぷり浴びせて。」
「浴びせて?」
「食べる。」
「美味しいの?」
「無味無臭。」
「……。」
「食べたらあんたのご主人に本音をぶつけてみな。嫌われる覚悟で。胸の内を全部曝け出すんだ。」
「……。」
「マオ。今のままじゃ嫌なんだろ?それなら…」
「私の声なんか届かない。」
「…届くさ。」
私が泣いても怒っても鬱陶しそうに、「あーはいはい分かった分かった」という男の事をアイルは知らない。
何度も本音で話そうとした。
でも男ははぐらかしてばかり。
「これで、最後にしなよ。今日また話して、それでも駄目ならもう仕方ないよ。」
「……。」
「マオ。私さ、手術するんだ。」
!
「アイル!何で!?病気なの?」
フッと寂し気に笑うアイルは「ある意味病気かもな。」なんて言う。
「子供産めない身体にするんだ。」
「な……」
「旦那は私の事なんて許しちゃいないんだよ。まあでも、自業自得だからな!」
そんな……。
「アイル、私あなたにずっと聞きたかった事がある。何故あなたは…。」
「それは、今夜わかると思うよ。」
今にも泣き出しそうな顔で、薄っすら微笑むアイルは皆まで言わせてくれなかった。
ねえアイル
あなたは何故ご主人と子作りしないの?
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