第1章

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「…ォ」 「…マ~オ」 「ん…アイル?」 「寝てんなよ。」 「ゴメん。」 「はい、これ。」 「うん?」 「いいもの。」 「何?葉っぱ?草?」 アイルから渡されたイイモノは、葉っぱと草の中間みたいな植物 「ごめん。これのどこがいいもの?」 「アレが粉になる前の…」 「ふざけないで!」 「冗談だって」 「じゃあ何?」 「マオは現実を見よう。マオは目を覚ますべき…いや、気付かなくてはいけない。」 「何?何の話?」 胸が不穏に騒つく。 アイルの鋭すぎる勘で、私の話から男の何かを読み取った? 「今夜は満月だから。」 「は?」 「それを満月の月明かりをたっぷり浴びせて。」 「浴びせて?」 「食べる。」 「美味しいの?」 「無味無臭。」 「……。」 「食べたらあんたのご主人に本音をぶつけてみな。嫌われる覚悟で。胸の内を全部曝け出すんだ。」 「……。」 「マオ。今のままじゃ嫌なんだろ?それなら…」 「私の声なんか届かない。」 「…届くさ。」 私が泣いても怒っても鬱陶しそうに、「あーはいはい分かった分かった」という男の事をアイルは知らない。 何度も本音で話そうとした。 でも男ははぐらかしてばかり。 「これで、最後にしなよ。今日また話して、それでも駄目ならもう仕方ないよ。」 「……。」 「マオ。私さ、手術するんだ。」 ! 「アイル!何で!?病気なの?」 フッと寂し気に笑うアイルは「ある意味病気かもな。」なんて言う。 「子供産めない身体にするんだ。」 「な……」 「旦那は私の事なんて許しちゃいないんだよ。まあでも、自業自得だからな!」 そんな……。 「アイル、私あなたにずっと聞きたかった事がある。何故あなたは…。」 「それは、今夜わかると思うよ。」 今にも泣き出しそうな顔で、薄っすら微笑むアイルは皆まで言わせてくれなかった。 ねえアイル あなたは何故ご主人と子作りしないの?
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