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まん丸お月様の光を
この植物にたっぷり浴びせて
食べる。
うん、無味無臭。
何かのおまじない?
アイルらしくないわね。
うまくもまずくもない植物を飲み込むと、身体に力が漲る様な感覚。
私の身体はみるみる大きくなり、男と同じぐらいになる。
そうして、意思とは関係なく、何故か二本の足でヒタヒタ歩き始める私。
この足は何処に向かっているの?
辿り着いた先は公園のベンチ。
そこには私の愛する男と、女が寄り添って座っている。
反射的に私は二人の頬を張りつける。
パシン!パシン!
「痛っ!」
「え、ちょっと何?何なのこのおばさん!
」
おばさん…
「私の男にちょっかい出しといて何言ってるの?」
震える声でそう言うと
「は?私の男?ちょっとあなた二股かけてたの!?しかもこんなババアと!」
「んな訳ねーだろ!おいババアお前何なんだよ!誰だよ!」
涙が溢れる。何で?どうして?何で
「酷いよ…ずっと…一緒に…暮らしてきたのに。知らないなんて酷いよ…。」
「怖い。幽霊…ですか?俺あなたと暮らしてた覚えないんすけど…。」
「やだぁ…。」
恐怖に震える二人が憎い。
涙が止まらない。
「私の何がいけなかった?食事?知らなかったのよ。あなたがネズミや雀が嫌いだなんて。私からしたらご馳走だから、あなたも喜ぶと思って…。あなたが嫌がるから外でも食べていないわ。あなたの用意した食事しか摂っていない。」
薄気味悪そうな目で私を見つめ、小刻みに震えながら私の男にしがみつく女。
何かを考えるような顔をしている私の男。
「あなた!この人から何かプレゼント貰った事ある!?私はずっとこれを身につけてる!ずっとずっと!お風呂も寝る時もずっとこれを!この人からの初めてのプレゼント!愛の証!」
私がネックレスのハートのチャームを握り締めると、男はハッとした顔をする。
「マオ…なのか?」
小生意気な女は「マオぉ?」と小馬鹿にした様に言い、キョロキョロ辺りを見回す。
「マオってあなたのうちの猫の?ちょっとやだ。名前聞いただけで目鼻が痒くなる!私猫アレルギーなんだから勘弁してよぉ。」
猫
「でもこんなとこで見かけるなんて、やっと追い出してくれたんだね!やっとあなたのうちにお泊まり出来る!っておばさんまだいたの?どっかいけよ!警察呼ぶよ?」
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