気まぐれと、惚れ薬

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「電車で寝てて、駅通り過ぎてたー!」 そんな声に、浸っていた私の思考が掻き消される。 もう、授業はとっくに始まっていて、先生だって、ほらあんなに真剣に。 田村くんの横に座って、ふぅーって息を吐く姿に、あっ走ってきたんだなって全員が分かる。 増田 孝輔(マスダ コウスケ) 同じ学部の、男の子。 黒髪を染める予定は無いらしく、襟足が、地味に可愛かったり。 文庫にハマってる、らしい。 「ばかだ...」 ポツリと自然に言葉に出た。あ、聞こえたかもって思うより前に 「なるちゃんひどい!」ってケタケタ笑って、なんか眩しいな、この子は。 ゴホン...って先生の咳払いで授業が再開して、私たちは話すトーンを切り替えて話しながらも、授業に集中した。 、
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