気まぐれと、惚れ薬

4/6
前へ
/6ページ
次へ
「うるさい圭汰!毎週6時に起きて来てるわ!」 岡崎くんの発言に菜緒が牙をむくのも当然。この、駅から遠い、大阪の端っこにある大学に2時間程かかる兵庫から菜緒は来てるのだ。 菜緒曰く、下宿はしない。のではなく出来ない。らしい。 確かに、下宿は何かとお金がかかる。 「たまに起してやってるんだか、そう牙を剥くなよ。」 って、吹っかけた岡崎くんが笑う。 その目がなくなる笑顔に、一瞬だけ、彼を好きなのかもしれないと思ったときのことを思い出す。 知り合った当時、彼の優しさに私は心を打たれた。 高校生のときのクラスメイトの男子と、てんで違っていたから。 次第に目で岡崎くんのことを追うようになって、これは恋なのかと考えることが増えた。 岡崎くんに食事に誘われた夜も、いつもよりも化粧を念入りにしたり、いつもより少しだけウキウキしたり。 これは恋なのかと、思った。 いっそのこと、分からないなら付き合ってから分かればいいと、血迷いかけた夜だった。 、
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加