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「うるさい圭汰!毎週6時に起きて来てるわ!」
岡崎くんの発言に菜緒が牙をむくのも当然。この、駅から遠い、大阪の端っこにある大学に2時間程かかる兵庫から菜緒は来てるのだ。
菜緒曰く、下宿はしない。のではなく出来ない。らしい。
確かに、下宿は何かとお金がかかる。
「たまに起してやってるんだか、そう牙を剥くなよ。」
って、吹っかけた岡崎くんが笑う。
その目がなくなる笑顔に、一瞬だけ、彼を好きなのかもしれないと思ったときのことを思い出す。
知り合った当時、彼の優しさに私は心を打たれた。
高校生のときのクラスメイトの男子と、てんで違っていたから。
次第に目で岡崎くんのことを追うようになって、これは恋なのかと考えることが増えた。
岡崎くんに食事に誘われた夜も、いつもよりも化粧を念入りにしたり、いつもより少しだけウキウキしたり。
これは恋なのかと、思った。
いっそのこと、分からないなら付き合ってから分かればいいと、血迷いかけた夜だった。
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