さち

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妹    きょうだいのうち年下の女。《義姉とも書く》夫や妻の妹、また弟の妻。義妹。 妹分    義妹(ぎまい)。妹同様の親しい関係。またその人。  だそうな。つまり美和のこと。  アリサちゃんは言っていた。 「ウチはくそ生意気な弟しかいないから、妹って憧れるんだよね」  すかさず、タケシ君が入ってくる。 「けっ、妹なんてピーピー泣くだけじゃんか。オレなら断然弟だな。でもって子分にする」 「あんた、またマリモっちに意地悪してるんじゃないでしょうね」  マリモっちとはタケシ君の妹のマリちゃんのこと。確か美和と同じ小一だった気がする。 「うっせーな! またうちのババァにチクる気かよ。これだからご近所さんは困るんだよな」 「何よ! チクられて困るようなことばっかやってるからでしょ」  キャー、キャー、ワー、ワー。  二人がじゃれ合っていると、アヤネちゃんが腕を絡めてきた。 「あの二人って、いっつも仲いいよね。まあ、いいけどさ。あたしはさちの気持ちよく分かるよ。ほら、ウチは三姉妹の真ん中でしょ? 妹なんて面倒くさいよね。でもさちはお姉ちゃんがいないからまだいいよ。あたしなんか、お姉ちゃんと喧嘩すると『二人とも悪い』って怒られるのに、妹と喧嘩すると『お姉ちゃんでしょ?』ってあたしだけ怒られるんだから。もう最悪なの。やっぱり愛美ちゃんとかまあちゃんみたいに、一人っ子がいいよね。何でも買って貰えるし、甘やかされて育つしさ」  確か、アヤネちゃんの妹も小一だった気がする。  とにかく、妹という代物はどこの家庭でもあまり良い物ではないらしい。 「お姉ちゃん、さっきはごめんね」  学校から帰り、昨日思いついた入室許可証を早速チラシの裏に作成していると、ノックなしで美和が入ってきた。 「美和、昨日ちょっと言い過ぎたよ。五百円もお姉ちゃんにあげる」  美和がドアに張り付いて、こちらの様子を伺っている。 「じゃあ仲直り」
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