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刺激
外部から働きかけて、感覚や心に反応を起こさせること。また、その働きをする物事。生体に作用して何らかの反応を引き起こさせること。また、その働きの要因となる物事。
〔補説〕 明治期に作られた語
刺激的 感性を強く触発するさま。
だとか。
かおりちゃんは言った。
「ヒロ君とちゅーした時」
その彼氏のヒロ君は言った。
「愛美ちゃんの匂い」
その愛美ちゃんは言った。
「ママの香水つけた時」
愛美ちゃんの美しいママは「そうねぇ、こんな感じかしら」とワタパッチ(ぱちぱち弾けるお菓子)をくれた。それで私は、ブランコでワタパッチを食べることにした。ブランコは後ろから前に向かって漕ぐ時、心臓のらへんがキュってなる。その感じはきっと『感性を強く触発するさま』に近いと思う。だからブランコに乗ってワタパッチを食べるとしたら、絶対刺激的なはずだ。
愛美ちゃんのママは、「もう少し大人になると自然に分かるようになるわ」と言っていたけれど、そんなの待ってられない。第一、大人とは何歳になったらなれるものなのか、もう少しって後何年なのか、全く具体的じゃない。私は、今知りたいのだ。
ギーコ、キィ、キッ、ギギー、キィ。
オンボロブランコは金切り声を上げた。全く雰囲気ぶち壊しである。
私は握っていた手を少しずつずらして、ブランコに腕を絡める。そうしてから慎重にポケットに手を伸ばすと、ひたりとした感触が人差し指にぶつかった。
ギーコ、キィ、ギーコ、キィ。
相変わらずの騒音の中で、ワタパッチを口に突っ込む。
パチパチッと、口の中で輪ゴムを弾いたような音がした。
『やみつきになる食感! グレープ味』
テラテラでキラキラの袋に書いてある文字を色っぽいアナウンサー風に読んでみる。
ギーコ、キィ。ギーコ、キィ、キィ、キ……。
「全然ダメだ」
ブランコを降りて誰もいないけど肩を落とす仕草をした。ダメな時にはそうやるものなのだ。暗くなって来たしもう行かなくちゃ。私はトボトボ歩き出した。
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