2 夏娘(カレイニャ)

2/4
前へ
/36ページ
次へ
「俺は子どものオモチャに係わる気はありません。話がそれだけなら切りますよ。収穫のピークで忙しいんです」 龍一は、ますます血気盛んに怒鳴っている。 普段冷静な人が、こんなに声を荒げている姿はめずらしい。 「美百合、何やってる?」 ついでに、やっと電話を切った彼の、こちらを振り向いたびっくり眼もめずらしい。 なかなか、感情を表に出す人ではないのだ。 「ううん? ちょっと暑くって、服を脱ごうと思って……」 美百合の言葉に龍一はますます驚いたように、 「お前、いくら暑いからって、なんで全部脱いでるんだ?」 と聞いた。 「え?」 美百合は自分でも自覚がないまま裸になっていた。 下着さえも脱ぎ捨てた全裸だ。 「美百合? いくらハウスの中でも、ここは外だぞ。誰が来るかわからない、こんな場所で――」 瞬間、龍一はハッとした顔をして、一足飛びに美百合の元に駆け寄ってくる。 そして自分がかけていたウサゴンのエプロンを外すと、美百合の身体にグルリと巻きつける。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加