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「俺は子どものオモチャに係わる気はありません。話がそれだけなら切りますよ。収穫のピークで忙しいんです」
龍一は、ますます血気盛んに怒鳴っている。
普段冷静な人が、こんなに声を荒げている姿はめずらしい。
「美百合、何やってる?」
ついでに、やっと電話を切った彼の、こちらを振り向いたびっくり眼もめずらしい。
なかなか、感情を表に出す人ではないのだ。
「ううん? ちょっと暑くって、服を脱ごうと思って……」
美百合の言葉に龍一はますます驚いたように、
「お前、いくら暑いからって、なんで全部脱いでるんだ?」
と聞いた。
「え?」
美百合は自分でも自覚がないまま裸になっていた。
下着さえも脱ぎ捨てた全裸だ。
「美百合? いくらハウスの中でも、ここは外だぞ。誰が来るかわからない、こんな場所で――」
瞬間、龍一はハッとした顔をして、一足飛びに美百合の元に駆け寄ってくる。
そして自分がかけていたウサゴンのエプロンを外すと、美百合の身体にグルリと巻きつける。
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