3 サマールビー

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美百合の首筋に唇を這わせると、 「……ああ」 美百合が甘い吐息で快感を伝えてくる。 もともとベッドの中では素直なたちだが、ここまで敏感ではなかったはずだ。 こちらがたじろぐほど腕の中で悶える美百合に、いつものイジワルを言ってやる余裕も失い、一気に果ててしまいそうな快感を堪えるだけで精一杯になる。 理性もなにもかもを手放して乱れる美百合の痴態は、こちらの意識も飛びそうになるほど魅力的だが、 自分の手腕ではなく、何やら怪しげなクスリのせいだと考えると、はらわたが煮えくりかえる。 それでも、もっともっとと狂ったように求める美百合の望みに応えるべく、龍一はよく知る、美百合の身体が一番感じる場所を容赦なく責め続けた。 ベッドの軋みに合わせて漏れる美百合の艶めいた声は、おそらく階下にまで響いているだろう。 耳朶を刺激するその声を止めようと左手で口を塞ぐが、それでも呻くように漏れ聞こえる喘ぎは、なおのこと艶を深める。 「美百合、声でかい」 小声で叱ってやると少しは止むが、龍一が動きを止めないのだから、静まるわけが無い。 「名前を呼べ」 美百合が陶酔に溺れたような、濡れた視線で見上げてくる。 「俺の名前だ。呼んでろ」 龍一が命じると、そのあえかな声で、 「りゅういち――」 と呼んだ。 それは龍一の頭を貫くほどの刺激を伴って、 「……いいね」 龍一は思わず感嘆して美百合の身体に深く沈む。
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