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再び美百合を眠らせることを果たした龍一は、
「美百合……、ごめん」
詫びながら、美百合の両手足を紐でベッドに縛り付ける。
美百合の肌が傷つかないように、身体と紐の間にはやわらかいタオルを挟み、舌を噛む危険も考慮して猿ぐつわを噛ませる。
少し悩んで、目が覚めた時に龍一の姿を探さないように、アイマスクもつけた。
アイマスクの上から、眠る美百合の瞼にそっとキスを落とす。
「待ってろ。すぐ戻る」
ふたりが使っているベッドの裏には、龍一愛用のベレッタが隠してある。
手入れを怠ったことはないが、改めて分解掃除して作動を確認する。
腰のホルスターに、予備の弾倉と共にしまった。
龍一が階下に降りると、おろおろと龍一を待っていた父親に、けっして二階にあがらないようにと申しつける。
美百合の状態を心配する親の気持ちも理解できるが、美百合は、例えば相手が父親だったとしても、男に対してどんな行動を取るか予想が出来ない。
ようやく仲良く暮らせている親子に、これ以上おかしな確執など植え付けたくはない。
龍一の想いが通じたのか、父親も固い表情のままだが、コクリとうなずく。
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