4 ペチカプライム

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ガラスの破裂音が響き、照明が撃ちぬかれて灯りが消える。 窓には厚いカーテンがかかっていて、部屋の中はテレビが放つ、ほの暗い灯りだけに沈む。 男たちの怒鳴り声が響き、踏み散らすような足音。  ――そして銃声―― 「バカヤロウ! うかつに踏み込むな。狙い撃ちされるぞ」 どうやら龍一は、事務所の奥のテレビの灯火を頼って発砲しているようだ。 自分以外の動く影はすべて撃てばいいのだから、有効な手段だとも言えよう。 だが、その方法に気づいた組員たちも行動を止め、事務所の中は一瞬だけ静まりかえる。 DVDから、場違いすぎて笑えるほどの女の喘ぎ声。 「マジかよ、あいつ半端ねぇ。いったい何者だよ」 浩輔がつぶやく先から、今度はバタバタと慌しい足音が聞こえ始める。 銃声は聞こえないが、代わりに、 「ガッ!」 「グワッ」 という短い悲鳴と、 「なんだ、どうした?」 戸惑ったような焦ったような声が響く。 好奇心に負けて再びドアの隙間からそっと顔を覗かせれば、テレビの蒼い灯りの中に、瞬間、回転する龍一の身体が横切る。 「ギャッ!」 誰かが、龍一の後ろ回し蹴りを喰らって、部屋の端までふっ飛ばされてきた。 事務所の中央にあった応接セットを粉々にしながら、こちらに突っ込んでくる。 ガラスが割れる音。 灰皿に激突して吸殻が散ったのか、鼻にくるニコチンの臭い。
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