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龍一は不敵に顎をあげると、浩輔をまっすぐに見つめた。
そして、
「その銃、弾入ってるのか?」
と聞く。
ふいの質問に、不安になった浩輔の視線が一瞬だけ泳ぐ。
龍一から逸れた。
その瞬間、龍一は浩輔の死角に回りこみ、左の手刀で浩輔の銃を持った手首を叩く。
「ギャッ!」
悲鳴と共に落下したリボルバーを、龍一は器用に右手で受け止める。
ついでに浩輔の右膝の裏側を蹴りつけその場にひざまずかせ、浩輔の背後に回りこむと同時に、首の後ろに銃口を突きつけた。
あっという間に、形勢は逆転。
浩輔はおずおずと両手をあげ、ホールドアップの姿勢を取ると、震えた声で、
「頼むよ、助けてくれ。別にそんなつもりじゃなかったんだ」
龍一に懇願する。
「もうしないよ。美百合ちゃんにも、もう二度と近づかない。約束する」
浩輔は必死になって、親しみを込めた笑顔を顔に張り付けようとする。
「また、ばあちゃんの作ったキュウリ、持ってくからさ」
龍一は、
「いろいろ聞きたいこともあるが」
小さなため息をつく。
「――もういい」
告げて、無造作にリボルバーの引き金をひいた。
浩輔は悲鳴をあげる間もなく絶命。
「美百合に手を出したんだ。最初から生かしておくつもりはない」
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