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「さて、約束の話をしようか…。」
圭吾は、届いた熱燗を、ちびりちびりとやりながら、話始めた。
「最初に言っておくけどね、俺だって、そこそこいい歳だしさ、一人きりで人生終えたいなんて、思ってないよ。
速水や谷口みたいに、公私ともに理解してくれて、一緒に歩ける相手がいて、愛してるってお互いに思えていたら、とっくに結婚してる。
誤解されたくないから、はっきり言うけど、俺は、全然、恋愛してない訳じゃないんだ。付き合った女から、結婚してくれって、せっつかれたことも一度や二度じゃないよ。だけど、今の俺はこの通り。結婚、一度もしてない。
俺が、男好きだから、女とは、結婚出来ないんだなんて、言うやつもいたけど、野郎に興味はないよ。」
「ねえ、叔父様から、結婚して欲しいって言ったことはないの?」
「ない。」
「どうして?…だって、結婚してくれって、言われるくらいに付き合ってた女性いるんでしょう。」
「いたよ、だから、そう言う話を、彩華にできるんだからな。
俺は、普通にな、恋をする。
好きになった相手が、その気になってたら、遠慮せずに、そいつを抱く。
…だけど、それだけなんだ。
しばらく付き合って、二人の未来を、思い描こうとするとさ、全然、描けないんだよ、その相手とな。
俺は、いつも、悩むよ。なんで、目の前にいる相手との未来を描けないんだって…。
悩んで、悩んで、悩みまくったさ、何度もな…。
二人の未来を、頭の中で、これっぽっちも描けない状態で、付き合い続けるなんて、最低最悪だ…。
結局、相手が、結婚を望んでくれても、俺自身が、ハッピーエンドの答えを出せなくて、お別れパターンだ。」
圭吾は、サラッと話しているが、彩華には、流せる話ではなかった。
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