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次の日、俺は、ちゃんと出社した。
前日、無断で休んだことは、上司の前で頭を下げて謝った。
「…高見沢、プライベートで、何かあったのか?普段のお前なら、笑ってすますのに。」
「すいません。ちょっと、感情的になってしまって…。大人げないと反省してますから。」
これ以上拡げないように、話を途中で、無理やり切って、デスクに戻った。
何もなかったかのように仕事をする俺を、後輩は、ばつが悪そうに、見つめていた。視線は、感じていたけれど無視を決め込んだ。
「…あのう。」
昼休み、後輩が、遠慮がちに声を掛けてきた。
「なんか用か?」
「すいません!俺、一昨日、かなり不躾なことを、先輩に言っちゃったみたいで…。」
「………。」
「怒ってますよね?」
「…怒ってない。」
「怒ってますよ…。俺のことを見てくれないし…。」
「わかってんなら、向こうに、行けよ。思い出したくないんだから…。」
俺は、大人げない態度を反省したはずなのにな…。
「…あのう。…一昨日の話…先輩、もしかして、彼女さん…死んだんですか…。」
死んだとか言うなよ…。
デリカシーないやつめ…。
もっと、他に言い方あるだろ…。
「そうだったら、なんなんだ。そうだったとしても、お前にだけは、同情なんてしてもらいたくないね。この話は、終わり。
酒の上のことなんだからと流せずに、本気で怒る俺が悪いんだ。
俺は、自分に、腹が立ってるんだから、これ以上何も言うな。」
そう言って、一方的に、話を切る。
まだ、何か言いたげにしている後輩を、残して、俺は、フロアから出ていった。
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