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それは、圭吾が、まだ大学に入ったばかりの頃の話だ。
「おーい、高見沢。」
同じ講義を取っていた千葉修が、圭吾を呼び止めた。
「なにか用?」
「あのさ、お前、明日の夜、体空いてる?」
「夜か…バイト入ってんだけど…。」
「休めねぇ?」
「なんで?」
「実は、合コンやるからって、先輩に誘われたんだ。だけど、男が、足んないみだいでさ、何人か連れてこいって言われたんだよ。」
「合コンねぇ…行きたいのは山々なんだけど…。」
「やっぱり、バイト休めねぇか…。悪い、いきなりだったし、聞かなかったことにしてよ。」
この時、次の機会にって、断っていたら、その先の展開はなかったし、俺の人生は、変わっていたと思う…。
「千葉、ちょっと待って。明日なんだよね、合コンは。」
「そうだよ。」
「今日、バイト行ったら、休めるか、聞いてみるよ。だから、返事は、明日の朝まで待ってくれる?」
「無理言ってんだし、それくらい、いいよ。他にも、何人か声を掛ける予定だけど、お前の分は、とりあえず空けとくよ。じゃあ、頼むな。」
修は、何度か振り返って、手を振りながら、校舎の向こうに消えていった。
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