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初めての合コンで、ちょっとばかり緊張気味の俺は、最初、なかなか、話の輪に入っていけなかったが、いつの間にか、その緊張も解けて、自然に話せるようになっていた。
あの頃は、今ほど、飲酒に対しての規制が厳しくなく、大学生ともなれば、先輩に勧められたら、飲むのが当たり前だったんだ。
だから、俺も、千葉も、先輩達に勧められるままに、酒を飲み、ツマミの料理をバクバク食べていた。
場の雰囲気に流されていたんだろうな、酒なんて口にしたことなかったのに、ぐびぐびやって、そうそうに、酔っぱらってしまったんだ。
恥ずかしい話、吐きはしなかったけど、気分悪くなって、青くなっていた。
他のやつらは、狙いの女の子攻略に勤しむか、早々に戦線離脱して、飲み食いに専念したり、ゲラゲラ笑いながら猥談したり、次の合コンいつするかと密談したりしていたから、俺は、その辺で、寝てろとばかりに放置されていた。
「大丈夫ですか?」
そんな俺を心配そうに覗き込んできたのは、最初、俺の真向かいに座っていた女の子だった。
「…気分悪いだけですから…大丈夫…のはずです…。」
「でも、顔真っ青ですよ。一度、外の空気吸ってきた方がいいと思いますよ。」
「ありがとう…。」
それが、彼女と初めて話したことだった。
ふらつきながら、ドアを開けて、外へ出ると、夜風がすごく気持ちよくて、しばらく立っていたら、ムカつきも、少しばかりましになった。
誰かが、ドアを開けて出てきた気配がしたから、俺は、振り向いた。
「少しは、ましになりました?」
そこにいたのは、さっきの女の子だった。
「うん、ありがとう。もう大丈夫。ムカムカしてたのも、この風のおかげで、だいぶ治まったよ。」
「本当に。なら、よかった。」
そう言って、微笑んだ彼女に、俺は、釘付けになってしまった。だって、彼女の笑顔があまりにも可愛かったから…。
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