100人が本棚に入れています
本棚に追加
お開きの声が掛かっていたらしく、みんな帰り支度をしていた。
相性のいい相手を見つけて、早々に、フケたやつらもいたみたいだが、ほとんどは、まだ、店の中にいた。
そんな中、彼女はというと、最初にいた場所で、やっぱり、帰り支度をしていたんだ。
俺は、彼女の前に立ち、息を吸い込んで、ゆっくり吐くと言った。
「あ、あの!」
「はい。」
振り向いた彼女を、じっと見つめて俺は、思いきって、話始めた。
「さっきは、ありがとう。ちゃんとお礼言えてなかったから。それから、君のこと覚えてなくて、ごめん。あの時と、雰囲気全然違ってたから、わからなかったんだ。
よかったら改めて、名前と連絡先、教えてくれないかな。」
周りにいた男子は、面白がって、俺を囃し立てた。彼女の友達らしい女の子達は、『ほら、チャンスだよ。』とか、言っている。
その時の俺は、そんなの全然、気にならなかった。
「君に聞いといて、きちんとした自己紹介まだでした。俺は、経済学部1年、高見沢圭吾です。よろしく。」
俺は、深々と、頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!