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披露宴の後、二次会は、特別開かなかった。友人は、祥子と共通の数人だったし、祥子の親族と速水達以外は、仕事関係ばかりだったからだ。
その数人の友人と、速水と谷口、それと光輝を、俺達は、ホテルのラウンジに招待した。
「すまなかったな、光輝。」
「別に、司会の進行が変わるのは、いいんだ。学会や会議では、よくあるからさ。
俺が、文句言いたいとしたら、そっちのことじゃなくて、《勿忘草》のこと。
何で、彩華が知ってんのに、俺が知らないんだよ…。プライベートなことは、別に知る必要が、ないっちゃないけどさ、司会する上で、最低限のこと、教えといてもらわないと…。」
光輝が、溜め息をついた。
「その顔…まさかとは思うが、光輝知らなかったのか?」
「そうだよ。…どうやら、家で知らないの俺だけみたいだし。」
「すまない…光輝は、彩華ちゃんから、聞いてるとばかり思っていたから、あえて話さなかったんだ。それに、あんな展開になるとは、考えてなくて。」
「はぁ…。いいよ、叔父さんだって、式のこととか、いろいろ大変だっただろうし。
俺は、かなり鈍感なんだって、今、気付きました…。
まあ、叔父さんが、幸せなら、俺は、それでいいですから。」
「ありがとう、光輝。」
そう言うのを待っていたみたいに、速水が、声を上げた。
「高見沢、光輝との話は着いたか?」
「ああ。取り敢えずな。」
「なら、改めて、乾杯しようぜ。谷口、お前の出番だ。」
いきなり振られて、ちょっと不服そうだが、目は笑ってる。
「なんだよ、速水がやるんじゃないのか…。
コホン。ええ、高見沢、祥子さん、今日は、なかなかに、ドラマチックで、それでいて、ヒヤヒヤさせられましたが、いい結婚披露宴だったと思います。
本当に、無事に終われて良かったです。
さて、ここにいる面子は、厳選された面子です。
高見沢と祥子さんのあれもこれも知ってる面子だと思います。だからこそ、今、言っといてやらなくちゃなぁということが、山ほどあると思うんで、無礼講です。どんどん言ってやってください。
それでは、いつまでも、俺がしゃべったてたら悪いので、この辺で。
高見沢圭吾、祥子夫婦の新しい門出と、俺達みんなの健康を祈念して乾杯!」
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