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叔父様の新しい家に、お邪魔させてもらうことになった。今日は、奏多も一緒だ。
「…この辺りかな?」
「待って、確認するね。うん、住所はあってる。」
私は、紙に書かれた住所と、プリントアウトしてきた地図を確認する。
「あっ、これだわ、目印のポスト。そこ左に曲がって、すぐ右を直進。二つ目の辻の右側の角。」
「ここだね。」
車を降りて、インターホンを鳴らしてみる。
玄関先に出て来た叔父様は、にこやかに迎えてくれた。
「いらっしゃい。彩華ちゃん、奏多君。車は、そこに入れてくれていいよ。」
「はい、ありがとうございます。」
ガレージには、車が2台。1台は、叔父様が前から乗ってる外車。もう1台は、叔父様のより、少し小ぶりな祥子さんの車。もちろん、メーカーは、叔父様と同じ外国のもの。
その隣に、2台分の駐車スペース。
お庭が狭くなっても、これは、作っとかないと、仕事のクライアントが、車で来たら困るからね。
「さあ、どうぞ。」
中に入ると、1階は、大体半分ずつに分けて、叔父様と祥子さんの仕事場になっていた。
共通部分に、ちょっとした応接セット。
「取り敢えず、上の用意が出来るまでは、ここで、くつろいでいてくれるかな。」
「ここで、叔父様と祥子さん仕事してるの?」
「まあね。メインで使うのは、ほとんど俺だけど。
たまにね、祥子が、仕事持って帰ってきたり、個人的な案件やったりするのに、やっぱり、応接セット位は、必要だろ。それに、資料とか、表に出しておけないから、別口のスペースいるだろう。個人情報については、うるさいからね。」
「祥子さんは、弁護士さんだもんね。」
「そう言うこと。」
叔父様は、機嫌よく珈琲を煎れ始めた。直に、香ばしい珈琲の香りが部屋一杯に広がり始めた。
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