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「いらっしゃいませ。」
画廊の店員だろうか、爽やかな笑顔の女性が近付いてきた。
「すいません、私、お客じゃないんです。今日、個展を開いていらっしゃる高見沢圭吾さんに、お届け物なんです。
高見沢先生は、どちらにいらっしゃいますか?」
「申し訳ありません、先生は、只今、お客様と商談中でして。」
「そうですか。待たせてもらっても構いませんか?時間が掛かるようなら、また、後で来ても構いませんが…。」
そう言うと、その店員さんは、私の名前を聞いてから、ちょっとお待ちくださいって、奥へ入っていった。
しばらくして、その人は、戻ってくると、彩華を、控え室みたいなところに案内してくれ、待っている間にどうぞと、アイスコーヒーを出してくれた。
ちょうど、アイスコーヒーを、飲み終わった頃、圭吾が、部屋の入り口から、覗き込むと、両手を合わせて言った。
「彩華ちゃん、ごめん。もう少し待ってもらってもいいかなぁ。」
「叔父様、お忙しそうですね。私、今日は、特に急がないんで、待ってます。気にせず、お仕事してください。」
「ありがとう。すぐ、終わらすからね。」
結局、画廊の閉まる時間まで、彩華は、待つことになってしまった。
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