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画廊が閉まった後、待たせたお詫びだと、圭吾は、彩華を、食事に誘ってくれた。
連れて来てくれたのは、個室のあるフレンチの店で、彩華も、満足出来る味と量だった。
お腹が満足したところで、圭吾は聞いた。
「それで、速水からの預かりものって何?」
「えっと、新しい本が出来たからって。預かってきたの。それから、これね、次の本のプロットなんだって、預かってきた。また、叔父様、装丁やるの?」
「ああ、やるよ。なんてったって、千秋さんには、専属契約してもらってるからね。」
「私ね、叔父様が装丁してくれて嬉しいんだ。ママの本のイメージに、いつでも叔父様の絵はぴったりなんだもん。」
「彩華ちゃんに、気に入ってもらえてるんだ。嬉しいなぁ。」
圭吾は、心からの笑顔を返した。
彩華の母、吉水千秋は、人気の女流作家だ。父の速水彰は、千秋のマネージングを一手に引き受けていて、出版社や、各メディアとの調整を仕事にしている。
彩華が、今日会いに来た高見沢圭吾は、千秋のデビューからずっと、本の表紙のデザインをしてくれている。そう言う仕事を《装丁》と言うのだ。
装丁が不味いと、売れる本も売れなくなる。その点、彼の絵も、デザインも、評価が高く、ファンも付いてるから、それで、買ってくれる人も多い。
彩華も、その口だ。身内ではあるが、千秋の本は、必ず自分のお金で買うことにしていた。
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