100人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、なんで、叔父様は、独身を通してるの?」
食後のデザートを食べながら、彩華が、真面目な顔で、圭吾に問うた。
「なんで、今更そんなことを聞くのかな?」
「だって、私にとっては、ずっと謎なんだもの。いい加減、答えが知りたくなったんだよ。」
「聞いたところで、面白いとも、思わないけどな。」
「面白いとか、そんなんじゃなくて、本当に真面目な話、真面目な疑問なの。だから、教えてよ。」
真剣な顔で、じっと、瞳を見詰めてくる彼女を、無視できない。
「まあ、他ならぬ、彩華ちゃんの頼みだからね…。無下にも出来ないか…。
俺はね、別にね、彼女が欲しくないだとか、結婚したくないとかで、独身通してるわけじゃないんだ。
どう言えばいいかな…。」
少しばかり圭吾は、考えて、口を開いた。
「…昔、好きだった女性がいたんだ。だけど、彼女とは、一緒になれなかった。
俺は、たぶんね、彼女以上の人に、出会えてないんだと思うんだ。」
最初のコメントを投稿しよう!