100人が本棚に入れています
本棚に追加
「彩華、話してやるが、ここで、ゆっくり話す内容じゃないんだ。場所変えよう。遅くなっても構わないんだったら、一杯付き合うか?」
「そりゃ、勿論。」
そう言うと、ちょっと待ってねと、携帯で誰かに電話を掛け始めた。
ああ、奏多君にか…。
「お待たせ、叔父様。」
「奏多君に、掛けてたのかい。」
「そうよ。心配するといけないから。」
「彩華、何年目だったかな、結婚して?」
「まだ、3年目。新婚さんと変わらないわよ。」
「そうだな、変わらないな。」
笑って、彩華に返したものの、俺は、また、小さな溜め息をついてしまった。
だってな、目の前にいるのは、この両手に、すっぽり入るくらいに小さかった赤ん坊じゃ、もうないんだぞ。
彩華は、いつの間にか、大人の女に育っていた。綺麗な美人の奥さんに、なっちまってた。
俺は、ものすごく歳を取ったような気分になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!