第1章

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「その絵は、君からでたのかい?」 変な質問をしたと思った。 僕はいつもそうなんだ。感じたことをうまく伝えることができない。 挙句の果てに人を困らせる。 まただ、また僕はやってしまった、と思った。 「そう、これは私からでたの。私の体、細胞ひとつひとつが働いて出来上がったの」 ーーーこれは予想外だった。 僕の感情が伝わった。 こんなこと、初めてだ。 「君は、透明な色をしてるね」 僕はまた不思議な言葉をいった。 すると、今までキャンバスに向いていた体がこっちを向いた。 そして、ふふっと笑った。 「あなたは面白い人ね。」 何が面白いのか、僕にはわからなかったが。 それはそれで面白かった。 「確かに、面白いね。」 僕はそういった。 ここが僕たちの原点だ。 これから起こる彼女と僕のお話の原点。 解説がないとわからない内容だけど。 まぎれもなく始まった僕らのお話なのだ。 「透明なんて初めて言われた。」
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