第1章

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その日は、梅雨明けでうだる様な暑さだった。 地面には、今まで溜め込んでいた水分が、もやのように立ち上って蒸発していく。 今までなりを潜めていた草木が、ここぞとばかり天目差して、伸びていく様は成長の音が聞こえてきそうだ。 暑さになれない身体がいうことを、聞かずただただだるい。 動く気になれず、冷たいフローリングに横たわる。 いつも、手を伸ばすと届く距離においてある携帯を取る。着信なし。メールに至っては迷惑メールばかり… こんな日が、数日続いている。
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