第1章

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携帯が、着信音を鳴らす。 「類?もしもし!類聞いてるの?」 また、母からだ。 「なんだよ、母さん。聞いてるよ」 母に俺の声は、届いていない様だ。 このマンションは、立地条件が悪く電波が入りずらい。よくある事だったので、気にしなかった。 「類?聞こえてる?類!」 母の声が、耳障りで通話を切った。 帰ってから、聞けばいい。 少し頭を休めたいところだが、のんびりしていたら、母に叱られそうなので準備を急ぐ。 蒸し風呂の様な部屋で寝ていたせいで、汗だくだ。軽くシャワーも浴びたい。 亡くなっているのなら、そんなに急ぐ必要も無いだろうと、風呂場へ向かう。 冷たいシャワーを浴びると、少し頭がすっきりした。 体のだるさも少し落ち着いたようだ。 それにしても、剛叔父さんが亡くなったなんて信じられなかった。 あの留守電は、なんだったんだろう。
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