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この時期、昼間は、麗らかな温もりを持つようになった。 だが日が暮れれば、空気は、またどこかに尖った寒さを隠し持つ。 そして、この季節が巡ってきたということは、 俺の大学生活も直に一年を迎え、 気付けば、新しかった姿はすっかり馴染みに変わっている。 その「馴染み」になった一つが、これ。 去年の夏休みから始めた、隣駅前の居酒屋でのアルバイト。 9時に上がる早番では、夜といえども、まだ人影もそれなりにあり、 町の姿も昼間とあまり変わらない。 だが、閉店までの遅番となると日付の変わる頃に家路につくため、 見慣れた景色も随分と違って見える。 だがそれも、もうすっかり「馴染み」になった。 しかしこの日、俺は、この「馴染み」になった夜の景色の中で 二つ目の見知らぬ「灯り」と出会ったのだ。
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