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「ちょっと爽平、いつまで寝てんの!」
部屋の扉をバンバン叩きながら、
けたたましく捲し立てる母親の声に叩き起こされる。
まったく、生きとし生けるものにとって春は眠いものと
古今東西、相場は決まっているだろう。
ましてや、俺が眠りについたのは、
今日という日に、すっかり突入してからだと重々承知しているくせに。
鬼嫁ならぬ、鬼母だ!
そんな事を、まだボウッとする頭の端っこで掠めながら
枕元の目覚ましに手を伸ばす。
だが時刻は、あと一時間もすれば昼。
それを目に、さすがに不味いと頭の中で呟くが、
口元を突いて出たのは、大きな欠伸だった。
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