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「実は、わたしね。先月、警察官の採用試験を受けたの」
晶子はポツリと言った。
「えーっつ。そうだったの。晶子はとうとう婦警さんになるのね。頼もしい。それに、なんか嬉しい」
「ありがとう。そう言ってくれて。でも、まだ結果の通知は届いてないの。年末か来年早々には分かると思うけど」
「そうなの。楽しみだね」
晶子は、自分のことのように喜んでくれている朋美のことが嬉しかった。
それから、朋美と別れた後の帰り道、晶子は携帯を取り出して桜田純一に電話した。二回目のコールで純一がでた。
「ああ、晶子さん。いまこちらから電話しようと思っていました」
晶子は久しぶりの純一の声に胸がときめいた。
「そうなんですか。何かあったんですか?」
「先日、晶子さんはオロチとサスケについて調べて欲しいと言っていたでしょう。その連絡がカスミさんからあったのです」
「そうですか。母は何を言ってきましたか?」
晶子はすでに500年昔からタイムスリップしてきたオロチとサスケのことを知っていたが、カスミの連絡に興味を持った。
「まず、オロチとサスケという人物は今の魔一族にはいないということでした。キリコさんは昔の人物かも知れないが、伝承記録には載っていないと言われていたそうです」
「そうですか。先生、ありがとうございます。実は、先生にもっと早くお知らせすべきでしたが、そのことはもう分かったんです」
「ほう。それは、どんな?」
晶子は話が長くなると思ったが、できるだけ掻い摘んでアサカやクキのことを説明した。
「そうでしたか。でも、電話では十分に理解できないので。一度、わたしの家を訪ねてください。その時に、もう一つ重要なお話しがありますから」
(やっぱり、電話では伝わらないか)
晶子はそう思ったが、それは口に出さなかった。
「もう一つの話ってなんですか?」
「実は、近々生霊族の大統領選挙があるそうなのです。それに、カスミさんが立候補されたということです。詳しくはお会いした時に話しましょう」
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