第1章

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しばらく沙耶の観察をしながら先生の声を聞いていた。 「ほれ、お2人さん。お待ちどぉ?さんっ。」 と、おっさん臭い声をかけられた。 「待ちくたびれましたぁ~。」 と、これまたキャラが変わってしまった沙耶さん。 もう、その頬の色、こっちか恥ずかしいくらいですが…。 見ないフリしとこ。 先生は気にも留めず、私が差し出した問題を見て、呟いた。 「この問題、分からないヤツ多いな。」 先生自ら持参した要らなくなったコピー用紙を裏返しにして纏めた束に、ボールペンでサクサクと問題を解いて行く。 ほほーぉ…と思わず声が零れてしまった。 「おばあちゃんかっ!」 ちょっと笑ったような顔で先生が言った。 「ありがとうございます!!」 私がお礼を言って沙耶を見ると、帰り始めたクラスメイト達に手を振っていた。 「沙耶、この紙いる?」 眼がキラーンと光り、くれっ!と訴えている。 「じゃ、ノートに写すし、もうちょっと待ってて!」 私は、テキストと問題を見比べながら先生のメモを書き写す。 「わかりやすぅ…。」 書き写しながら、思わず呟いてしまった。 「そっか、なら良かった。」 先生は、そう言ってちょっと笑った。
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