第1章

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葉山先生のクラスは、うちのクラスの隣だったので、必要な物だけを持って移動した。 その時、いつも一緒にお弁当を食べる静流が、声をかけて来た。 「聞けた?例の問題。」 静流は、図書室に行って2冊ほど本を借りて来てた。 歴史小説が好きで、帰りの電車で読むのが堪らなく好きなんだとか。 でも、私と同じく数学は苦手。 「てるちゃん、15分ほどしたら来てくれるって~!!」 おぉ、また花を背負った沙耶が飛び出して来た。 この急激な彼女の変化に戸惑う。 人を好きになったら、私もこんな風に頬がピンクになるのか? 花を撒き散らすのか? でも、静流は気にもとめず、 「私もついでに、てるちゃんに聞こうかなぁ~。」 その声を聞いたクラスに居た数人が便乗してしまい、補習のような人数になってしまった。 先生は、ちょろっと教えてから、また直ぐに仕事に戻るつもりだったかも知れないのに…。 ここに居る全員からの質問を受けていたら1時間は軽くかかってしまう…。 だったら、もっと仕事をキリのいいところまで片付けてから来てもらった方がいいかもしれない。 1人の質問にだけ対応して…ってワケには行かない空気だ…。 「あのさ、私、委員会の先生に呼ばれてたの忘れてた。だから、ちょろっと行ってくるわ!」 静流に声をかけて、私は、教室を抜け出した。
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