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『お、俺と付き合ってくれませんかッ!?』
『うーん、ごめんね。なんか貴方じゃピンとこない』
──────
綺麗な空に、爽やかな空気。
放課後の学校はなんだかいつものように喧騒に溢れてる。
きっと、彼の心も荒れてると思うよ。一世一代の〝告白〟だもんね。
無謀にも男子が呼び出したのは、校舎裏というか、特別棟と一般棟の小さな道。
とても王道ではあるけれど、それはフィクションでのお話だよ、一般男子っ。
それにここに呼び出された彼女もあまり話したこともない男の子に告白されてビックリなんて感じではなくて。
辟易しているというか、熟れてるって感じがする。
さすが2学年の人気者、鴇 美琴─とき みこと─。
噂では月に一度は告白されてるみたいだね、私の方にタレコミがきてるよ。
返事だけすると鴇 美琴ちゃんは踵を返して足早に去って行ってしまったね。
それを呆然と眺める男の子。
なんだか可哀想になっちゃうなぁ私は。
だから教えてあげるよ。
ほら、スマホを見てごらん。
もう届いてるはずだから。
『鴇 美琴ちゃんとでも付き合えるようにしてくれる人達がいるよ、使うかどうかは山鳩 三弦─やまばと みつる─君次第』
ほらね、見えるでしょ、それが運命の赤い糸だよ。
欲深くしがみつくと切れて地獄に落ちちゃうかもしれないけどね。
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