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自分の教室に戻り、帰りの身支度を済ませる。
それはもうゆっくりと。ただし不自然に思われない程度に。
僕は合図を待っていた。
確証もないし、決めるのはあの男子生徒だけれど。きっと、依頼してくると思うんだ。
女子の間で流行ってる〝おまじない〟みたいなものと同じような感覚で。
やっておいても損はないくらいの感覚で。
きっと合図を実行に移す。
好きな相手に告白するよりも簡単だ。
窓から見えるのはパタパタ揺れる旗。
もうじき身支度が終わり席を立ち上がろうとしたとき。
お、やっぱりね。男子生徒が旗をひっくり返しにしたのを僕は目撃した。
これで後日、こちらから接触すればいいだけだ。
顔もちゃんと見てるし、誰かはすぐにわかる。
他のみんなも明日には旗に気がつくだろうから、会議は明日かな。
などと、脳内には幾つかのやらなければいけない事が浮かぶのを感じつつ、僕は帰るのだった。普通に。違和感などなく。
こくはく部への依頼、久々だ。
報酬には何を貰おうか。
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