運命の赤いヒモ

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「通常だと5万円のこのヒモを今なら特別セール、1万円!1万円で譲ってやろう」 私の頭に通販番組で有名な某社長の顔がよぎった。 怪しすぎる……!! それなのに、気付いた時には1万円札はお爺さんの手の中に。 私の諭吉が……っ! 「毎度あり、お嬢さん。取説も中に入れといてやろう」 お爺さんから袋を無理矢理掴まされた。 というか、取説って!!上品な老紳士風なんだからせめて取扱い説明書と言って!! 私の心の声などいざ知らず、お爺さんはニコニコと私を見送ってくれた。 翌日、私はショッピングモールにいる。 昨夜買った……というより無理矢理買わされた赤いヒモを小指に巻き付けて。 取扱い説明書にはこのヒモを巻き付けて出来るだけ人の多い場所に出掛けてください。ヒモから赤いラインが出て、運命の人に繋がります。 この赤いラインはヒモを持つあなたにしか見えません。ご注意ください。とあった。 そんなわけないよね、まぁ、気休めよ、自分に言い聞かせてみたら。 ヒモを巻き付けた左手の小指が熱を持ち、徐々に赤いラインが伸び始めたのだが……。 「何よこれ~!!」 思わず大声で叫んでしまった。 私から伸びたラインはまわりの男女に繋がり、真ん中には大きな絡まりがあった。 これじゃ、誰だかわからないじゃない! あのジジイ!! その後、私が運命の人をこの手でゲットしたのは、また別のおはなし。
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