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これまでのあらすじ
人間の姿形を変える呪い、『ウェザブーチェン』……。
ある1人の女神を捕らえることだけを目的とした呪いの網は、万能な女神を捕らえるために広く効果を発揮した。
網にかかった人間は1人残らずその餌食になり、それぞれの姿を変えてしまった。
草原の一本の草に姿を変えた者。
人形に姿を変えた者。
水に姿を変えた者。
手の力が1000倍に変わった者。
これらをまとめて、ウェザブーチェンと呼んだ。
女神には、最近できた友達……いや、親友がいた。
普通の人間だが、人間の信じるものが神ではないと訴える。
幸運より、神より、自分の努力が大切だと。
神を信用してばかりいると、人間はダメになってしまうことも。
女神は、それに心を打たれた。
初めて、人の努力を知った。
自分も、人間らしく生きられる。そう思ったのだ。
女神は自分が女神だという事実を隠して生きる。
隣で自分の身長を追い越す親友を優しく見守りながら。
幸運をもたらす力なんて、神にはないのに。ただ微笑んで、手伝った。
これが女神の意思であり、初めて持った幸せだった。
幸せは、長続きはしない。
ある日、親友はここを出ようと言った。一緒に旅をしよう、と。
疲れ切って、この町には居られない。
この町は、神の幸せしか生きがいがない。
これだけ訴えたけど、誰1人、耳を傾けてくれないから。
そして、女神が決意して自分が女神だと伝えようとしたときには時すでに遅し。
手遅れだった。
女神は開かない蕾に、親友は電気の姿へと形を変えた。
ウェザブーチェン。
網に、女神と人間がかかった。
女神は動けない。
またある日のこと、ウェザブーチェンになった人を、もっと偉い神は全員殺すと言った。
親友の方は心も体もボロボロになって、それを守った。
女神も、助けた。手伝う事しか出来なかったけど。
女神は、光の屑となって消えていった。
親友は、それを助けると、約束した。
『光の使者』。親友の方は、勇者となった。
電気を操る勇者は、今日も友に囲まれ、旅をしている。
きっと夕食の話でもしながら。
ある日、人間は知らない戦いで人類を守った勇者の名は、
トブ・サンダーと言う。
女神の石を持った、……少年だ。
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