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花心の初恋は幼稚園だ。年長組の睦月という少年だったが小学校の時に名古屋に引っ越してしまった。それが縁の切れ目だったのだろう。睦月への思いは中学に入る前にきれいさっぱり消えていた。花心はそのまま中学へと入り、親友の優と共に三年を過ごし、激動の進学受験を乗り越えて、紀伊國学園に入学したのである。
花心も優も来年には進路を決めて卒業する。恋の花もときめきも話題には登るがまだ蕾のままであった。
今時の高校生なら合コンも普通なのだろうが花心にはまるで興味はない。優が勉強の息抜きに参加しないかと持ち掛けて来るようになったのは、夏休み前の梅雨の時期であった。合コンの計画は綿密に練られ、気がつけば秋になっていた。
「合コンの日取り、来週金曜日の夕方だからね。忘れないでよ?」
紀伊國学園校門前で優は唱えるように言ってくる。
花心は気乗りはしなかったが、暇だったので行くことにした。
2
金曜日がやってきた。金曜日の放課後は生徒たちが楽しそうにしている。学園から解放されることを心待にしているのだ。
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