揺れる灯火、空高く

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 花心は制服のまま優とカラオケ屋に向かった。  カラオケ屋には八人の生徒が集まっている。  葉山以外は初対面だ。 「さあ! 今日は楽しく参りましょう!」  音頭を取っているのは他クラスの美人さんだ。花心にはそれくらいの認識しかない。葉山の方を見ればスマホを片手に曲を聴いている。花心には随分と熱心に聴いているように見えた。  葉山の目が花心を向いた。彼は直ぐに視線を逸らす。花心も慌てて視線を周りに向けた。  優は既にアタックを開始している。積極的な姿勢を花心はいつも傍観している。彼女と同じように接触できたならもう恋人が居るのではないかと思ってしまう。  合コンを主催した幹事は、こともあろうか生徒会のマドンナだ。副会長と恋仲にあると噂で聞いたのは嘘だったのだろうか。  カラオケ屋の個室に案内されてからいきなり自己紹介タイムとなって花心の気持ちは不安で揺れていた。  花心は、もともとこうした集まりを好まない。一年の時も二年のときもあれこれ理由を作って行かなかった。
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