第1章

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「あ・・・っ、先生・・・」 まるで凍てつく氷を溶かすように、指先をゆっくりと這わせて。 「また、痩せましたね。」 「そう、かな」 彼の制服のボタンを外しながら、そう言って、困った顔をしてみせた。 「これ以上痩せたら、しばらくお預けですね」 「それは、いや…ぁっ…」 はだけた服の隙間から覗いた肌に口づけると 透き通った白い肌が、薄桃色に色づく。 一枚一枚、花びらをむしるように、彼の纏うものをはがしていく。 細く、骨格の浮き出た胸や腰に、わざと音を立てて吸いつき 彼の素直な反応を楽しむ。 ふと、目に入ったのは、白い肌に散らされた、赤い染み。 ーーーそれは、独占欲の証。 「…藤堂くん、なかなか情熱的ですね」 「この間、久しぶりで…。」 「なるほど、止まらなかったわけですね。さすが、若い。」 あらがえない事実をかき消すように、乱暴で余裕のない痕。 笑顔の奥に隠された支配欲の塊をぶつけたような。 「ていうか、先生こそ!あんなところに痕つけてっ…」 「あぁ、気づきました?」 「柊真にも気づかれたんだよ…!」 「それは、失礼しました。」 「いつも、あんなところに残さないのに・・・。」 「たまには、・・・身の程を知らせないと。」 「?」 幼馴染みは、私の存在を知らない。 だからこそ、遠慮も容赦もなく、こうして彼の体に痕を刻むのだろう。 けれど、あくまで彼の想いは”一方通行”であるという事実を時に知るべきだ。 瑞希の心に、自分以外の誰かが、すでに巣を張っていることを。 体をつなげば心まで手に入ったと錯覚している、若さ故の勘違いを恥じ、身の程を知ればいい。 「ん、やっ…先生…っ」 「もっと声出していいですよ。保健室と違って、家はそこそこ高級マンションなんで、壁も薄くないですし。」 口を塞ごうとするその手をとって、指を絡めてベッドに押さえつける。 人の気配に怯えながら、声を押し殺すいじらしい姿には見慣れているが 時には感情のままに、喘ぐところがみたい。 「あぁ、ひぁっ…」 「それから、家では名前、でしょ?瑞希?」 「・・・れ、玲司…さ、ん…」 「よくできました」 「あっ、まって、…いきなり入れちゃっ…」 そうして、私におぼれていけばいい。 余計なものなどすべて捨てて、私しか見えなくなるほど。 いつから私はこんなに、彼におぼれていたんだろう・・・
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