第1章

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ーーーーーそれでも俺は、闇夜に光る星に恋い焦がれる・・・。 「んっ・・・」 触れ合うだけのキスをして、彼は名残惜しそうに親指で俺の唇をなぞった。 その目は、まだ熱を帯びている。 「奈都(なつ)、もう終わり。…学校でこういうことしない約束だろ。」 振り払うように顔をそらし、優しく抱きしめる腕から、するりと逃れ出る。 少し乱れた制服を直しつつ、校舎へと足を向けた。 「ねぇ、瑞希。少しは俺の体温分けてあげられた?」 「…まぁね。」 「よかった!」 俺よりも20センチも背が高い男が、子どものように無邪気に、にっこりと笑う。 なんだか、不思議な光景だ。 「授業始まるから、行くよ。」 「あ、待って瑞希!」 いつからだっただろう。 保育園の時からの幼馴染だった奈都とこんな関係になったのは。 「ねぇ、瑞希。放課後…俺ん家寄るでしょ?」 「・・・」 「もう俺限界。一か月も瑞希に触ってない。」 「今キスしたじゃん。」 「だめ。もっとキスしたいし、もっとつながりたい。」 奈都とは、付き合ってるわけじゃない。 俺は生まれつき人より体温が低いらしく、風邪をひきやすかったり 貧血気味だったりと、とにかく体調を崩すことが多い。 だから、セックスは、俺にとって体温を調節するための行為でしかない。 「ね、瑞希…」 「…わかったから。」 「やった!」 「…俺、ちょっと保健室寄っていくから。」 「具合悪いの?」 「薬飲みに行くだけ。」 「わかった。先行ってるね。」 それを知っていて、それでも奈都はその体温調節役を買って出た。 バカみたいだと思うけれど、結局俺も、それに甘えているのかもしれない。 「失礼します。」 「おや。」 保健室の扉を開けると、教卓に座る先生がこちらを向いた。 「先生…少し、休ませてください。」 「えぇ、どうぞ。今ちょうど誰もいませんから、どこでも…」 「……”ココ”がいいです。」 言葉を遮り、ふらふらと腰かける先生の膝に、片脚をかけた。 先生の紺色のネクタイを少し引き寄せて、余裕げに笑う彼を見下ろしながら。 「………………困りましたねぇ。」 先ほどまでの作られた笑顔を捨て クスッと、意地悪く、愉快そうに先生が笑い、俺の顎を優しくとらえる。 「”ココ”は高いですよ・・・?」 その言葉とともにゆっくりと、唇が重なった。
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