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「あっ…や、あぁ…っ!はげし…っ」
「瑞希っ…瑞希…やばい、俺…もうっ…」
「やっ、あっ…あぁあぁぁ!」
あぁ
体が熱い。
火を放り込まれたみたいだ。
***
「瑞希…ごめんね、無理させすぎた…」
「…へーき…。」
「声かすれてるね…水持ってくる。」
放課後、約束通り、奈都の部屋に来ていた。
幼いころは柊真とともによく遊びに来ていた部屋だが、年齢とともに雰囲気も少しずつ変わり、今はCDや雑誌が雑然と置かれた高校生男子らしい部屋。
今、奈都の部屋に来る理由はただ一つ。
ーーー奈都に抱かれるため。
「はい、水。」
受け取ったペットボトルから、一口水を喉に落とす。
胃に落ちた冷たい水が、奈都が放った火を徐々に消火してくれる。
奈都の体温は俺よりずいぶん高く、
繋がるたびに、体の中に火を放り込まれたような感覚になる。
それが嫌なわけではないけれど、何かが違うと、体の奥で叫ぶ自分がいる。
こんな関係、いつまで続けるんだろう…。
「好きだよ、瑞希…」
こんなに想ってくれる彼の気持ちを見てみないふりをして。
***
「おっしゃー!もう一本!!」
翌日の体育の時間、奈都がバスケの試合で大活躍する様子を、一試合終えた俺は、柊真と隅で傍観していた。
「なんか、今日の奈都はご機嫌だな。昨日奈都ん行ったんだろ?」
「…まぁね。」
「だからか。」
タオルで汗を拭きながら、柊真が苦笑した。
彼は、俺と奈都の事情を知る数少ない人間だ。
「……ソレ…奈都のじゃねぇよな?」
少し言いづらそうに、柊真が話題を振ってきた。
ソレ、とは昨日、俺自身もトイレの鏡で気づいた、首筋のキスマークのことだ。
「…やっぱり気づいてたんだ。さすが柊真。」
「ちゃんと恋愛しろとか言わねぇけど…奈都のことも、大事にしてやってほしい。あいつは何よりお前のことを想ってる。」
「うん…それは俺が一番感じてるよ。でも…」
「でも…?」
「…」
ーーー奈都はね、俺には熱すぎるんだよ。
こんな時でも思い出すのは、奈都のものでなく、あの人の熱。
じわじわと俺を溶かしていく、わずかに高い温度で触れる指。
触れられたところから、体の中心から…
「瑞希ー!見た見た?!俺のウルトラシュート!」
「うん、ナイシュー」
あぁ…
また、体が冷めてきた…
早く、あの人の体温と一つになりたい…
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