相談

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 黒埼が礼緒菜の頭を軽くポンポン叩く。  紫貴がパスワードを入力しながら礼緒菜に問いかける。 「礼緒菜も見る?」  目頭を押さえながら礼緒菜が答える。 「中身は知ってるけど…見る」 「……そっちに移動しようか?」  紫貴が礼緒菜を気遣うように声を掛ける。 「私が行く……」  礼緒菜が紫貴の後ろに立ち、屈むようにパソコンを見つめる。 「いくよ……」  紫貴がそう言って、ぽちっとエンターキーを押した。  生前礼司が調べていたもの……それは、ある検事の、考えてみるとかなり不審な『自殺』の案件だった。 『二年前、ひとりの男が死んだ。名前は、横山進(よこやま すすむ)。職業、検察官。死因は転落死。  検察庁の屋上から落ちたのだ。現場には、彼の遺書も、遺品も何も残っていなかった……。』  この件に関して疑問を持ったので調べ、あることに気づき、内部告発しようと、まとめていた資料だったのだ。  生前の礼司と礼緒菜が調べていたものだと、言っていた案件。礼司がまとめ、彼の死後も礼緒菜が個人的に調べていたもの。  礼司がまとめたものを礼緒菜がいじらず、調べたものを追加していただけだとすると。  礼司が『事故死』したのが4年前。更に2年前の案件なので、今から6年前の案件ということになる。  紫貴と黒埼がモニターを無言で読んでいく。 「……どう思う?」 「事故じゃなかったら、口封じだな」  黒埼が淡々と言う。 「これは……葛城さんが?」  紫貴が礼緒菜に問いかける。 「……そう。 だから、葛城も口封じされたのだと思う…あの日、晴海埠頭で、無人の大型トラックに撥ねられて……」  礼緒菜が、意外な事故の真相を口にした。 「うわあ……」 「無人?」 「うん… だから、確信したのよ」 「良く知ってるな。事故で片付けられた案件だぞ?」  黒埼が不審そうな声を出す。 「何でも知ってるわ。 だって、その場に居たんだもの」「……っ」  意外な言葉に、黒埼は反論できない。 「まさか……旦那?」 「……即死だったわ。 私は許さない。葛城と、お腹の赤ちゃんを奪った犯人を許さない!」  紫貴の問いかけに、礼緒菜の激昂が応える。 「追い詰めてやるんだから!」  激昂の末に机をバンバン叩く。
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