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この春に大阪から千葉に越してきた、
私こと真角泪。
母子家庭ならぬ父子家庭である私の家族は、
朝から仕事や学校だと言って慌ただしくしていた。
「泪。
お弁当は持ったかい?」
玄関でローファーを穿くのに夢中になっていた私に、
父・真角英孝が心配そうに駆け付けた。
「あ、
やば!」
ドジなことが取り柄である私にとって、
お弁当を忘れないことなんてありえない。
……なんて自慢してみたところで、
自慢にはならないのが落ちだった。
「あー! 靴穿いちゃったよー!」
とか言って靴のまま廊下を走ろうとする私に、
父が
「ちょっと! 手間だけど、
一度靴脱いでから廊下に上がりなさい」と激励する。
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