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「はーい……」と意気消沈気味にローファーの紐を解こうとした矢先、
私の後頭部に何やら物が置かれた。
「だからオメーは駄目なんだよ」
と言い放ったのは私の兄・真角勇だった。
「ありがと、
お兄ちゃん!」
そう言って頭の上のお弁当を鞄にしまう。
「いい加減そのアホ治さないと、
クラスで虐められるぞ~?」
「そんなことないもん!」
私と兄は同じ高校の1年生と3年生。
引っ越しのことは私が中学を卒業する前に解っていたから、
私の中では今までの友達に別れを告げる時間は十分にあった。
けれど、
兄にとって2年間ずっと一緒だった友達と別れることに多少なりとも躊躇いがあったはずだ。
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