Prologue 01

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「あ、 あははは……?」  頬を若干引き攣らせて笑顔を見せようにも、 兄の機嫌は治らないようで。  無言の威圧というものは恐ろしく怖い。  例え肉親であり、 自転車の荷台に乗せて行って貰えるほどの仲だとしても、 流石にやり過ぎたと思ってしまう辺り引け目を感じてしまう。  無言のまま自転車をガレージから運んできた兄が 「ほれ、 乗るんだろ?」と言ってくれたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。  私が荷台に乗ったことを兄が目視で確認すると、 自転車は発進する。 狭い路地を通り車の交通量が多い道に出ると、 そのまま北に坂を下るだけだ。
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