第二章

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「ひやっ!」 突然目の前に現れた顔に驚いた私は、変な声をあげ中腰の姿勢のまま体を反らした。 中腰の姿勢が悪かったのか?バランスを崩した私の足首がくきっと曲がり、 「あわわわっ…」 私は転びかける。 でも… 「おっと…危ない」 持っていた空き缶は床に落ちカランカランと転がっているけれど、私は転ばなかった。 それは何故か? 「あっ」 …藤崎雨。 彼が助けてくれたから。 藤崎雨が私を見下ろしながら、 「大丈夫か?」 と聞いてくる。 私の体を包み込む、柑橘系のさわやかな香りに、腰にまわされた腕。 その腕を離されたら、私はそのまま床へと背中を打ちつけてしまう。 そんな体勢のままで、 「大丈夫です。助けてくれて、ありがとうございます」 私は、彼にお礼を言った。
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