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座布団に座り、修成さんが台所から持ってきてくれた緑茶と花林糖を戴きながらポツポツと語り出す。
豆彦と柴丸は騒ぎ疲れたのか、俺の横で寝そべって大人しくしていた。
可愛いな、もう!
モフモフ……出来ないんだったっけ。
「そっか、梅子さんに聞いたんだ」
修成さんも梅子さんの事は知っていた。
フリーの座敷童だった梅子さんは度々この家にも遊びに来ていたらしい。
「ホントはね、一人で狗神をいくつも抱えるのは大変なんだ。それでも俺の祖父が狗神の力を抑えてくれててね~、何とかケンちゃん一人で背負ってる」
「そうなんすか……」
湯呑みを手に取り、少し温くなったお茶を啜る。
「ケンちゃんはきっと怖いんだ。また誰かが狗神の暴走に巻き込まれて死んじゃうんじゃないかって。だから、他人とは一定の距離をとる。近付きすぎないように」
湯呑みの中の緑茶に浮かぶ波紋を見つめ、ふぅっと息を吐いた。
これ、望みは薄いんじゃないか?
そもそもケントは男もいけるんだろうか。
天城さんと修成さんの件もあるから、男同士ってのに偏見は無いんだろうけど。
「でも、ミノリ君はケンちゃんが好きなんでしょ~?」
「好きだと思うっす。ドキドキキュンキュンは解んないっすけど、何かこう……ケントを幸せにしてやりたいって思って」
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