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俺が幸せにしてやる、だなんておこがましいけど。
それでもケントが幸せだと笑って、その隣に俺も居られたら俺も幸せなんじゃないかって思う。
俺には何の力も無いし、狗神をどうにかしてやる事なんて出来ない。
無力な自分が悔しい、それでもケントを幸せにしてやりたいんだ。
「そういう『好き』ってのもあるのかもね~」
「自分でもこれで好きって言えるのか不安なんす。でもケントの傍に居たいんすよ」
「うん、解る。解るよ」
修成さんは俺の気持ちを解ってくれたみたいで、うんうんとしっかり頷いている。
「梅子さんには同情してるのか、って言われたっす。それもあるんだろうけど、でもそれだけじゃなくて……」
受け皿に湯呑みをカタンと置くと、その音に驚いた豆彦がピクリと耳を動かして顔を上げる。
その愛らしい仕草につい顔が綻んでしまった。
「俺、ミノリ君を応援するよ! 俺もケンちゃんの事は心配なんだ。ケンちゃんとは兄弟みたいに育った、だから余計に幸せになってほしいって思うし」
「修成さん、ありがとうございます」
「頑張って、ミノリ君! ほら、花林糖食べて!」
お皿に入った花林糖をそのまま差し出されて、苦笑いを浮かべながらも花林糖を一つ摘まむ。
修成さんが味方になってくれたのは有り難い……けど、どう頑張ったらいいもんなんだろうな。
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