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「修成さーん!」
先にケントの元に辿り着き、ケントに話し掛けようとしていた修成さんの前に身体を割り込ませる。
「あれ、ミノリ君?」
「修成さん、言ってないっすよね? 止めてください? ホントマジで止めてくださいね?」
ズイッと修成さんに迫ると、迫力に押されたのか修成さんがコクコクと頷いていた。
ふー、危ない危ない。
ギリセーフか。
「お前ら、邪魔すんならあっちに行ってろ」
事情を知らないケントが呆れたように片手を振って俺と修成さんをあしらう。
「邪魔しに来た訳じゃ……そう、手伝い! 手伝いしに来たんだよ!」
そうですよね、と修成さんに同意を求めると、修成さんも「そうだね~」と話を合わせてくれた。
「手伝い? んじゃ、こっちはいいから軽トラから荷物下ろしてくれ」
「軽トラ?」
ケントの言う軽トラはすぐに解った。
骨組みをしているテントの少し後ろに停めてあったから。
「あれ、ここって車入れるの?」
ケントの車はこの山の中腹の駐車場に停めて、俺達は荷物を抱えて長い石段を登った。
てっきり車はここまで入れないのかと思ってたのに。
「入れない訳無いだろ。裏道からなら入れる。でなきゃテントも運べないだろ」
さも当たり前だとでもいうように答えられた。
だったらケントもこっちまで車で来てくれたら、俺も足をプルプルさせながら石段を登らなくて良かったんじゃないの?
なんだ、このガッカリ感は。
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