天狗

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軽トラに積まれた荷物には、プラスチックのパックの束やたこ焼き器があった。 いいな、たこ焼き食べたい。 ガスや電気などの配線は後でガス屋さんと電気屋さんがしてくれるから、セッティングだけでいいらしい。 「ケント、お祭りって何時から?」 「出店を始めるのは5時からだな。祭事は7時から」 「祭事?」 「天狗を祀る神社だからな。天狗共が集まって今年の豊作の祝いと来年の豊作の祈りをするんだ。天狗は風を操る、だから天気も操って豊作にしてくれる……とかいう言い伝えがあるからな」 言い伝え……まさかホントに天狗がここに住んでるとは、町の人達も知らないんだろうな。 妖怪の存在なんて誰も信じない。 俺だって実際にこの目で見るまでは信じなかったし。 「ケントも祭事の手伝いをするの?」 そう尋ねながらたこ焼き器を置く為の長机を運んでいると、ケントが長机の反対側を持って手を貸してくれる。 「いや、俺は部外者だから祭事には関わらない」 部外者……そうか、ケントはこの神社に拾われただけで関係者ではないのか。 それって、長年ずっと一緒に暮らしていても他人は他人だと一線を引いているみたいだ。 それは……寂しくないか? .
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