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まずは家に帰ってから銭湯に行こう。
洗濯物は溜まってなかったからコインランドリーは今度でいいか。
靴下だけは台所で手洗いして……。
これからの予定を考えながらのんびり歩いていると、何か小さな物が足元に飛び出してきた。
「ぅわっ! ネコ……?」
真っ黒なアスファルトの上に丸い塊。
大きさからネコかと思ったが。
「な、何だ……?」
丸い塊が立ち上がったかのように縦に細長く伸びる。
その頭の天辺に長い耳があり、そこで初めてその塊がウサギである事に気付いた。
ってか、こんな所にウサギ?
大自然の中なら『野ウサギかな』と思うかもしれないが、ここは街中だぞ?
呆気にとられていると、そのウサギが俺の元に一歩、二歩と近付いてくる。
ピョンピョンと跳ねているんじゃない、歩いているんだ。
ウサギって二足歩行出来たっけ?
ーーー見つけた。見つけたよ。
どこからともなく聞こえてくる、子供のような声。
いや、耳で聞いているというよりは、頭の中で直接声がしているみたいだ。
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