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青い羽根
ねぇねぇと肩を叩かれ、私は我に返った。
いつの間にか、大嫌いな数学の時間は終わり休み時間になっていた。
私は大きく伸び欠伸をすると、いつものように怪しげな雑誌を片手にしている、友人の理沙を振り返る。
理沙の目は獲物を見つけた肉食獣のように輝いている。
「見てみて」
そう言って理沙が指を指す場所に、私は寝ぼけ眼をこすり、顔を近づけた。
「幸福の青い鳥の羽根......?」
私は思わず瞬きした。
南国にいる極彩色の鳥の青い羽根のような物の写真の下に、胡散臭いレビューが並んでいる。
私は仁王立ちしている理沙を見上げた。
「これ何よ?」
理沙は満面の笑を浮かべた。
「幸せの青い鳥の羽根よ。し・あ・わ・せ・の青い鳥の!」
へぇ、どうせ鶏の羽根を青色に彩色した紛い物だろう。
そう言いかけた時、理沙はそれをあたかも見破っているかのように広角を上げた。
「疑っているんでしょ?」
「勿論」
理沙は占いや風水やタロット、パワーストーン等が大好きな変わった女子高生で、魔法使いの魔導書のように常に片手にしているのは、ラッキーアイテムや占いの方法、天中殺等細かく載っている雑誌。
不幸か幸いか、彼女の友にあたる私は耳にタコが出来るほど、新製品云々について聞かされているので、新しいアイテムのことを話されても何も驚きを感じなくなっていた。
まずラッキーアイテムが本物なら、世の中に不幸な人はいないはずだ。
そう思っていた。
以前まではーー
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